
6月6日(金)、TOHOシネマズ日比谷にて、映画『FUJIKO』公開記念舞台挨拶を開催しました。
満席のお客様が待ち受ける上映後、既成の価値観や社会規範に抗いながらも自らの人生を切り拓いていくシングルマザーの主人公・富士子を演じた片山友希さんをはじめ、富士子の娘・麻理役の渡辺友那さん、富士子から理不尽に子どもを奪おうとする姑・古宮敏子役のYOUさん、企画・プロデュース・出演を務めたMEGUMIさん、保険営業として働く富士子の営業先で出会う佐々木役のリリー・フランキーさん、富士子の母・千代役の岸本加世子さん、自身の母の半生を映画化した木村太一監督ら豪華キャスト・スタッフ陣が登壇しました。

数多くのミュージックビデオを手掛け、2023年の『AFTERGLOWS』で長編映画デビューを果たした木村監督。自身の母の半生をベースにした物語を映画にしている本作について「ちっちゃい頃から聞かされてきた話で、すごく大事な話なので、自分の中でいつか映画にしたいと思っていました。僕は、これが2作目なんですけど、すごく大事なタイミングだと思ったので、ここで自分の家族の話を映画にして、キャリアの飛躍につながればいいなと思いました」と語りました。
MEGUMIさんは、木村監督と共に4年の歳月をかけて本作に取り組んできたことを明かし「こんな瞬間をみなさんと過ごせるなんて本当に感無量でございます」としみじみ。MEGUMIさんは監督の前作『AFTERGLOWS』に参加しており、「当時、私はプロデューサーを始めたばかりでしたが、たまたまニュースで『日本人女性の自己肯定感が世界で最下位』というのを見て、自分がつくる作品は、女性を応援できるようなものだったらと色濃く思っていました。そのタイミングで太一さんが、お母さんをモデルにした映画をつくりたいので、ぜひプロデューサーとして参加してくださいと中目黒の居酒屋で言ってくれて、自分がやりたい方向性と太一さんがつくりたいものがフィットしたし、長編映画もつくったことがなかったので、すごいチャンスをもらったなと一緒に伴走してきました」と振り返りました。
4年もの月日の中で、ケンカをすることもあったそうで、MEGUMIさんは「『マジムカつく!』みたいなこともたくさんありましたが(笑)、そういうことがあったから良いものができたと思っています」と感慨深げに語りました。

片山さんは本作が映画初主演。シングルマザーの役を演じたことについて「初めての母親役でシングルマザーというのが『どうなんだろうな?』と気になっていたんですけど、ここにいる麻理ちゃん(渡辺さん)もそうですし、赤ちゃんもやっぱり、人形ではわからない重みや泣き声、温かさが伝わってくるものがあって。(渡辺さんは)天真爛漫で子役っぽくないんですよ。悲しかったら悲しむし、面白かったら笑うし、自然な表情から、もらえるものがすごく多かったです。だから、自分が母親として『こうやって作りました』というより、本当にみなさんからいただけるものが多かったなって思います」と感謝の思いを伝えました。
子供役を演じた渡辺さんは、片山さんとの共演について「友希ちゃんはとってもカッコよくて、優しくて、本物のお母さんみたいでした。いつも優しかったので、怒られるシーンの演技だけとっても怖かったです」と語り、会場は思わずほっこりとしたムードに。
YOUさんは、以前から“おばあさん”役に憧れていたとのこと。「若い時はネグレクト(する母親)役が多くて(苦笑)、最近はバーや喫茶店のおばさん役が多かったんですけど、ちゃんと毎日働いている老人の役に憧れていまして、メグ(MEGUMIさん)とその話をしたら、こういう役をいただけて楽しかったです」と満足のよう。
YOUさんと岸本さんの劇中の激しいケンカのシーンが話題を呼んでいますが、リリーさんはこのシーンを「平成のババアのケンカ、名シーン。あれだけ見ると、『ババア・ファイトクラブ』」(笑)と独特の表現で絶賛! YOUさんは「韓国は(ケンカで)よく髪を引っ張るシーンがあるけど、日本はお茶をかけるということで(笑)、岸本さんに『すみません、おかけします』とお話して、快くかけさせていただきました」と楽しそうに語っていました。

自身の母親について小説(「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」)にしているリリーさん。木村監督が母親についての物語を映画にしたことについて「僕の場合は、親不孝をして母を亡くした悔恨の念で小説を書いたというところがありますけど、監督はまだお母さんがご存命のうちに、お母さんをリスペクトする映画を撮られて、本当に親孝行だと思います」と木村監督を称え、さらに「僕は親不孝の果てに、絞り出したみたいなものなので」と語ると、YOUさんが「そうですね」と深くうなずき、MEGUMIさんも「そう思います」深く同意し、会場は笑いに包まれました。
静岡県出身の岸本さんは、静岡を舞台にした本作への出演について「静岡が舞台の作品って、多いようであんまりないんですよね。なので今回、静岡が舞台ということでものすごく嬉しかったです」と喜びを口にしつつ「私ひとりだけ、静岡弁を軽くやってるんですけど、浮いてないか?と、ちょっと心配だったんですけど…」と語ると、MEGUMIさんからは「静岡の方は大喜びでしたし、イタリア(第28回ウディネ・ファーイースト映画祭)でも、岸本さんのシーンが一番ウケていました」と明かし、片山さんからも「イタリアの人たちは、ママに大爆笑でした」と太鼓判。
改めて岸本さんは「私も早くに母を亡くしたんですが、静岡愛がものすごく深かった母に対しての思いが今でもすごくあります。この映画を通して『お母さんの愛に勝てるものはないな』って本当に思いました」と思いを語ってくれました。

第28回ウディネ・ファーイースト映画祭にて、最高賞にあたる「ゴールデン・マルベリー賞(Golden Mulberry Award)」 と「ブラック・ドラゴン・特別観客賞(Black Dragon Audience Award)」を受賞した本作。現地に足を運んだMEGUMIさんは、受賞の瞬間号泣したそうで「友希ちゃんも号泣していて、抱き合って泣きました。人前であまり感情が出ないタイプなんですけど、さすがにこの時は崩壊しました」と興奮を共有。木村監督は「受賞したときは、本当に夢のようでちょっと、あんまり感動というよりも、無の感情みたいになっちゃって、まずは家族に感謝しようと思っていました」と振り返り、モデルとなったお母さんにも「最初に電話して『おめでとう』と言ってくれて、胸が熱くなりました」と明かしました。
イタリア、ヨーロッパの観客の反応に関して、MEGUMIさんは「50分くらいスタンディングオベーションをいただいて、本当に感激しました」と語り、木村監督は「イタリアの方々のママ・カルチャーに刺さったのかなと思いますし、(イタリアは)食文化も大事にされていて、この映画もご飯がいっぱい出てくるのでそこに共感してくれたのかなと思います」と分析。
ちなみに、この日の客席には、木村監督のお母さんが来場していたとのこと。これまでに開催されたイベントや試写会などには「大谷翔平を見にロサンゼルスに行っちゃって…(苦笑)」(木村監督)、会場に足を運ぶ機会がなかったそうで、この日、ようやくお母さんに完成した映画を観てもらえたそう。木村監督は映画を制作するにあたって「(お母さんから)とにかく『暗くするな』とずっと言われていたので、そこは責任を持って、強く突き進むっていう姿を見せなきゃと思っていました。映画というのはポジティブなエネルギーを作り出すものだと思っているので、そこはすごく意識しました」と語りました。
映画初主演となった本作を経て、今後の目標・夢を尋ねられた片山さんは「2年以上前から自分で韓国語を勉強していてコツコツ続けているんですけど、イタリアに行って『次は英語を勉強したい』と思って、いまは英語を勉強中です。せっかく自分がこんなに素敵な映画に出させていただいたので、英語と韓国語を勉強して、世界の方々とお仕事できるようになったらいいなと思っています」と力強く語りました。
舞台挨拶の最後に、本作についてMEGUMIさんは「音楽のにおいがすごくしたり、テンポ感であったり、アニメーションが入っていたり、いままでにない映画体験になっていると思います。そして、観終わった後には『自分も新しいことをやってみようかな』とか『動いてみようかな』という、晴れやかな気持ちになるような作品になっております」と表現。
片山さんも「日本映画にはない疾走感があります。あらすじだけを聞くと、暗い映画なのかな? と思うかもしれないんですけど、演じている時、私も富士子のパワーをすごくもらって、1か月間、すごくエネルギッシュな自分だったなと思うので、皆様にもそのエネルギーが届いたらいいなと思います」とコメントしました。
木村監督は「自分ではいま、この作品は最高傑作だと思っています。ただ、最高傑作というのは、必ず塗り変えていかなきゃいけないものだと思っているんですけど、でも間違いなく、この作品が人生で一番大事な作品であるというのは不変で、絶対にそこは変わることはないです。役者の皆さん、スタッフの皆さん、関わっていただいた皆さんに感謝しています。観ていただいた方にも楽しんでもらえれば本当に嬉しいです。そして、最後に母に感謝です」と語り、会場は感動に包まれました。
映画『FUJIKO』は全国公開中です。ぜひ劇場の大きなスクリーンでご覧ください。

